血管上皮細胞におけるサーチュイン6(SIRT6)の働き

今回ご紹介するのは、SIRT6と呼ばれる遺伝子の働きを調べた論文です。
この論文によりSIRT6が、ヒトの血管上皮細胞において、
DNA損傷応答やテロメアの機能維持、老化の抑制に関与することが示唆されました。


SIRT6 protects human endothelial cells from DNA damage, telomere dysfunction, and senescence.


今回の論文は全文を無料で読むことができます!
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3567786/

SIRTはSirtuin(サーチュイン)と呼ばれる遺伝子で、
ヒトの場合SIRT1からSIRT7までの7種が存在することがわかっています。
それぞれの遺伝子は発現パターン、細胞内での局在が異なり、
役割もそれぞれ異なっていると考えられています。
実際に、今回明らかにされた血管上皮細胞でのSIRT6の働きには
SIRT1は関わっていないようで、血管上皮細胞における
SIRT1とSIRT6の役割分担が明らかになりました。


このようにサーチュインの研究が進むことは、
加齢と関連した血管の病理に対抗する重要なヒントとなるかもしれません。


実際にマウスでは、SIRT6の欠損体が加齢に似た表現型を示すこと、
また、逆にSIRT6を過剰発現させたオスの個体では、
微量ながら寿命が延びることが報告されています。
このことから、ヒトの血管上皮細胞でもSIRT6を過剰に発現させれば、
血管の老化を遅らせることができるかもしれない…と著者らは締めくくっています。

  

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